エネルギー転換
「エネルギーの輸入と輸出の両方を政府が行い、再生可能エネルギー業界、電気・ガス会社、自動車メーカー、大手テクノロジー企業、大都市が中心となって、水素は今、かつてないほどの盛り上がりを見せています。水素をクリーンで安全なエネルギーの未来にとって重要なものにするため、世界はこのユニークなチャンスを逃してはなりません。」– ファティ・ビロル(Dr. Fatih Birol)、国際エネルギー機関常務取締役、2019 年 [1]
エネルギーの転換は、エネルギー生産と利用を、脱化石燃料、すなわち真のゼロカーボン世界を目指す世界的な動きです。石炭・石油・天然ガスから、水素のようなエネルギーキャリアに転換することは、この転換を実現するための基本的なステップです。PDC は、地球の未来に必要不可欠なものと考えて、水素エネルギー転換に取り組んでいます。気候変動が深刻化する中、水素は低酸素エネルギーミックスの実現に向けた、スケーラブルなエネルギーキャリアとして期待されています。水素は、輸送、鉄鋼、アンモニア、精製、電力、商業用・家庭用など幅広い産業で利用できる優れた柔軟性があります。
この変革の核となるのは、気候変動を抑制するために人間活動による CO₂ 排出量を劇的に削減することであり、その兆候は私たちの周りのいたるところで目にすることができます。2020 年だけでも、カリフォルニア州とオレゴン州で、記録的な 6 大火災のうちの 5 つが発生しました。2022 年3 gs月には、オーストラリア東部では、観測史上最高の週間降雨量を記録し、シドニー近郊で前例のない洪水が発生しました。気候変動がこのままのペースで進んでいけば、気候変動の最も深刻な例であるバングラデシュは、2050 年には 7人に 1人が水位上昇により、住むところを失うことになると言われています。世界の気温を産業革命以前の水準から 2℃ 抑制するために、温室効果ガスの排出を正味ゼロにすることが求められています。この数値は、2015 年 COP21 のパリ気候協定による、生物圏の壊滅的な変化を回避するための、最大気温上昇として広く理解されています。国際再生可能エネルギー機関によると、再生可能エネルギーの取り込みがこれをサポートし、再生可能エネルギーとエネルギー効率により、カーボン削減要求の 90% まで達成することができるということです。現在アメリカでは、再生可能エネルギー資源が発電量に占める割合は 20% で、ヨーロッパでは 40% です。国際エネルギー機関 は、世界の再生可能エネルギーによる発電量は、太陽光発電のけん引により、2019 年から 2024 年の間に 50% 増加すると予測しています。脱炭素化を支えて 2℃ の制限内に抑えるためには、この変革を加速させる必要があり、政府と民間企業は今後 10 年間、それぞれの環境誓約を支援するために数千億ドルを投資する必要があります。再生可能エネルギーによる発電は、必要な変化の半分に過ぎず、輸送機関の脱炭素化も不可欠です。これは、飛行機、電車、トラック、車をバッテリー電気と水素に変えるということで、これこそがPDC Machines の領域なのです!
水素である理由
輸送における水素
水素は、そのエネルギー密度により、輸送における化石燃料にとってかわる理想的なゼロカーボン燃料です。グリ―ン水素は、電解と呼ばれるプロセスを経て、その場で再生可能エネルギーと水を利用して生成することができます。再生可能エネルギーで、水分子を水素と酸素に分解し、その水素は圧縮されて燃料タンクに充填することができます。バッテリー電気自動車は、乗用車には適していますが、その他のモビリティ分野では、バッテリーの重量、走行距離、充電時間といった面で脱炭素化には適していません。大型トラックやバスの分野などは、長距離走行が求められ、利用率が高いために短い時間で充填する必要があります。燃料としての水素は、燃料補給や走行距離の特性がガソリンと似ているため、理想的な燃料といえます。航空機の場合、水素はそのエネルギー密度から、(電池は重量が重いため使用不可)理想的な燃料です。その結果、水素燃料電池自動車は、バッテリー式電気自動車と並んで、クリーンな輸送のエコシステムの中で、重要な位置を占めることになります。
エネルギー貯蔵における水素
再生可能エネルギーの重要な問題は、エネルギーがいつ作られるかをほとんどコントロールできないことです。夜間に太陽エネルギーを得ることはできませんし、風が吹いていない時に風力エネルギーを得ることもできません。また、クリーンエネルギー施設で大量の再生可能エネルギーを生産する時が、人間の需要のピークと一致しない場合もあります。水素はエネルギー貯蔵のバッファとして、重要な役割を担っています。エネルギー需要の少ない時間帯に、再生可能エネルギーで水素を作り、水素はそのエネルギー密度から、再生可能エネルギーが発電しない時間帯に文明の利器として利用することができるのです。水素は、グリーンエネルギーの流れを完結させるために利用できる力といえます。私たちは今、エネルギー変革を実現するためのツールを手にしています。地球に永続的な恩恵をもたらすために、このような変化を推し進めるのは私たち次第です。